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2013年9月 2日 (月)

宮家邦彦の外交・安保カレンダー(9月2-8日)

先週末はCNNテレビに「釘付け」となった。オバマ大統領がシリア政府軍による化学兵器使用を確信し、限定的軍事介入を決断した。ここまでは驚かなかったが、対シリア攻撃の権限について米議会に承認を求めたと聞いて我が耳を疑った。

中途半端というか、稚拙というか、良い形容詞が思い浮かばない。今回の対シリア政策の意思決定はオバマ政権の典型的外交として永く語り継がれるだろう。数年後には世界中の大学の国際関係学科で絶好の教材となるのではなかろうか。

オバマ大統領の仕事はイラク・アフガンからの米軍撤退と米国内の再建であり、海外での新たな軍事介入には極めて慎重だった。エジプトでクーデターが起きようが、シリアで内戦が激化しようが、知ったことではなかったはずだ。つい最近までは。

ところが先月大統領は突然政策を変更し、シリアによる化学兵器使用は「レッドライン」発言が飛び出した。化学兵器の非人道性を思うあまりの衝動的な発言だったのか。理由はよく分からない。

とにかく、大国の最高指導者が一度「レッドライン」に言及した以上、その一線が破られれば、軍事力を投入しなければならない。これはもう化学兵器の非人道性の問題ではなく、米国大統領の威信とクレディビリティの問題なのである。

大統領が米議会に承認を求めたことも解せない。物事にはタイミングがあるだろう。この時点での議会承認要請は事実上の責任放棄ではないのか。今頃中東や欧州の米国の友人たちは大いに落胆し、米国の敵は歓喜の声を上げているだろう。

この判断の外交的悪影響は計り知れない。シリアのアサド政権は一息ついて態勢を立て直せる。どうせ限定攻撃しか出来ないとなれば、シリアは米国の足元を見る。内戦は続き、化学兵器が再び使用される可能性すらあるだろう。

問題はアサド政権の自国民へのサリン兵器使用ではないのか。如何なる経緯があるにせよ、アサド政権には出来るだけ早く正しくかつ厳しいメッセージを届ける必要がある。今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

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