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2013年4月の5件の記事

2013年4月29日 (月)

宮家邦彦の外交・安保カレンダー(4月29日-5月5日)

今週は韓国のソウルに来ている。当地有力シンクタンクの年次総会に招かれた。29日朝ちょっと雨が降ったが、金浦空港に到着した頃にはきれいに晴れて、遠くの山々がはっきりと見える。かくも清清しい初夏のソウルを見るのは久しぶりだ。

ところで、本当に北朝鮮はミサイルを撃ってくるのだろうか。韓国政府の一部は高度の警戒態勢にあるだろうが、ソウルの一般国民にそんなものはないと感じた。ここに来るといつも感じることだが、朝鮮半島は「冷戦」が長すぎたのだろうか。

会議の参加者は世界中からやって来る。既に日本の閣僚による靖国参拝も話題になった。中国の「自己主張」には辟易するが、韓国の主張も止まることはない。英語に「moving the goal post」という表現があるが、韓国のゴールポストがまた動き出した。

今週日本の要人は皇族から、総理大臣、更には大企業幹部まで「外遊」のラッシュだが、ここソウルは「エアーポケット」になっている。普通なら日本の要人・観光客でごった返すのだろうが、今年は韓流ファン日本女性の訪韓が激減しているとも聞いた。

空港から乗ったタクシーの運転手が教えてくれた。この韓国人運転手は日語と英語ができ、米韓共同訓練「フォールイーグル」は430日に終わるが、その後が危ないという。聞けば、彼は在韓米軍の運転手だったらしい。さすがは韓国、感心した。

日本は連休の谷間だから、今週はこのくらいにしておこう。

いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

2013年4月22日 (月)

宮家邦彦の外交・安保カレンダー(4月22-28日)

ボストン・マラソン爆弾テロは実に痛ましい事件だった。たまたま自宅にいてCNNなどの「完全実況中継」をずっと見る破目になり、色々なことを考えさせられた。特に気になったのは、犯人特定までの様々な憶測と、州捜査当局の報道対応だった。

イスラム過激主義者ではなく、米国のhome-grown白人極右テロの可能性が高いなどといい加減なことを言った日米評論家たちは誰だったか。勿論、彼らを批判する気はないが、白人極右とは連邦政府や国連などを批判する連中ではなかったか。

そうであれば、彼らが政府職員でなく、ボストン・マラソンを見に来た罪もない子供を無差別に殺すだろうか。筆者が引っ掛かったのはここだ。今回の犯行には、米政府ではなく、米国社会そのものに対する毒々しい敵意と憎悪が見え隠れする。

それにしても、犯人がチェチェン人とは思わなかった。彼らの敵はロシア政府であり、これまで米国を標的にした話はあまり聞いたことがなかったからだ。今回もテロ関連のインテリジェンス分析が如何に難しいものか、改めて痛感させられた。

一方、犯人の兄弟について発表する州知事と捜査当局の最初の記者会見は見事だった。記者団からの質問には一切答えず、必要な情報だけを発信する。それでいて、捜査員を労いつつ、市民に丁寧に協力を呼び掛ける姿は頼もしくすら思えた。

記者団も文句は言わない。非常事態であることは誰もが承知しているからだろう。余計な批判は時間の無駄、危機の際に一致団結する米国人らしいやりとりだった。これを日本で期待するのは「ないものねだり」だろうか。決してそうではない筈だ。

それにしても、北朝鮮は当面ミサイルを発射しないのか。先週のピョンヤンの動きを見ていると半ば呆れつつ、半ば安心する。これまでとは違う言動に呆れつつも、どうやら戦争覚悟の挑発ではなかったらしいことに安心しつつある、ということだ。

いずれにせよ、世界はまたピョンヤンに振り回された。韓国のパックネ大統領だけでなく、中国や米国も北朝鮮との対話に言及し始めた。あーあ、またこの繰り返しかと思う反面、核弾頭の小型化とミサイル能力の向上が着実に進むのは気になる。

ちなみに、今週末の日韓外相会談は中止の可能性大だ。安倍首相が靖国参拝でも強行したならともかく、真榊奉納だけ。閣僚参拝もけしからんのだそうだ。韓国側がこのような形で「ハードル」を上げていくと、日韓関係に出口はなくなる。

いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

2013年4月15日 (月)

宮家邦彦の外交・安保カレンダー(4月15-21日)

先ずはアジアから始めよう。

先週末から米国のケリー新国務長官が韓国、中国、日本を歴訪している。北朝鮮がこの間にミサイル発射するでは、との予想もあったが、どうなるのか。世界は再びピョンヤンに振り回されつつあるようだ。

そもそも、日米中韓は戦争に訴えてまで北朝鮮の核問題を解決する気はない。案の定、韓国のパックネ大統領が北朝鮮との対話を提案。予想通り、北朝鮮はこれを拒否したが、今後も交渉は続きそうだ。これが北朝鮮の常套手段なのだから・・・。

それにしても、こんな田舎芝居を北朝鮮は何時まで続ける心算だろう。強面、軟化、対話、代償、合意、ちゃぶ台返し、関係悪化、強面・・・・プレーヤーは変わるが、このサイクルだけは変わりそうもない。

15日のケリー国務長官の東工大演説は誰が書いたか知らないが、内容は退屈だった。ケリー長官が「リバランス」についてどれほど本気かは次のパラグラフを読めば分かる。要するに、言葉には出すが、気持ちは伝わらない。やはりケリーらしいなと思った。

Some people might be skeptical of America's commitment to this region. Well, let me be clear: President Obama made a smart and a strategic commitment to rebalance our interests and investments in Asia. My commitment to you is that as a Pacific nation that takes our Pacific partnership seriously, we will continue to build on our active and enduring presence.

ケリー訪日で唯一興味深かったのは次の尖閣問題に関する発言、特に最後の部分が重要だと思う。確かこれは日米外相会談後の記者会見での発言だったと記憶する。

The United States, as everybody knows, does not take a position on the ultimate sovereignty of the islands. But we do recognize that they are under the administration of Japan. And we obviously want all the parties to deal with territorial issues through peaceful means. Any actions that could raise tensions or lead to miscalculations all affect the peace and the stability and the prosperity of an entire region. And so we oppose any unilateral or coercive action that would somehow aim at changing the status quo.

「一方的、強制的に現状を変更しようとするいかなる行動にも反対する」という言い方はヒラリ-・クリントン前長官が使った表現であり、ケリーが再び日本でこれを明言したことはそれなりの意味がある。まあ、まあ、これなら合格かなぁ、という感じだ。

欧州ではインド・EUと日本・EUの自由貿易協定交渉が15日から始まる。一昔前はEU側が対日貿易交渉に消極的だったといわれていたが、最近のユーロ危機もあってか、状況が変わったのかもしれない。そうであれば、大変結構な話である。

同じ15日、米国のドニロンNSC補佐官が訪露し、ミサイル防衛について話し合う。日本版NSCが出来たら、誰がこのような役割を果たすのか、誰がドニロンのカウンターパートになるのだろうか。考えれば考えるほど、実に難しい問題だ。

同じく15日、パキスタンでは最高裁がムシャラフ元大統領の国家反逆罪容疑に関し公聴会を開く。511日にパキスタン下院選挙があり、与党は苦戦が予想されているという。ムシャラフもムシャラフだが、パキスタン内政の混迷は続きそうだ。

いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

2013年4月 8日 (月)

宮家邦彦の外交・安保カレンダー(4月8-14日)

今週は米国のケリー新国務長官が中東から東アジアを歴訪する。

先週末にイスタンブールでシリア問題を協議、8-9日にはイスラエルとパレスチナを訪問する。その後、ロンドンでG8の外相会議に出た後、12日に韓国、13-14日が中国、14-15日が訪日という相変わらずタイトな国務長官スケジュールだ。

ケリー長官は先々週にオバマ大統領に同行して既にイスラエルを訪問しているが、就任後アジア訪問は初めてだ。同長官が中東地域と東アジアの繋がりについて身をもって理解してくれると良いのだが。いずれにせよ、「ケリー」は「ヒラリー」ではない。

ヒラリーといえば、本稿を書いていたら、あるテレビ局から取材があった。英国のサッチャー元首相が亡くなったが、お前面識はあるかと聞かれた。彼女は享年87歳、普通なら面識などあるはずはないが、実は筆者、彼女を東京で見かけたことがある。

彼女の首相就任は19795月だから、同年6月末の東京サミット(主要国首脳会議)には参加している。筆者は当時外務省入省直後の研修生、東京サミットのロジ(輸送班)の末席だった。羽田での首脳到着担当だったから、彼女も例外ではない。

サッチャリズムは妥協を許さない政治哲学の典型だが、一番感心したのは、あの「揺り籠から墓場」までの英国を、市場原理に基づく自由主義経済として立て直したあの手法だ。天晴れという外ない。サッチャリズムこそ今の日本に必要なものである。

アイアン・レイディという言葉は正に彼女のためにある言葉だろう。当時のレーガン大統領との息もぴったり、英米の「特別の関係」を象徴していた。伝統を重んじる国だが、英国の女性のトップは皆強力である。大したものだ。心からご冥福を祈りたい。

いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

2013年4月 1日 (月)

宮家邦彦の外交・安保カレンダー(4月1-7日)

41日だが筆者は今年も嘘はつかない。北朝鮮では最高人民会議が開かれている頃だが、結果はどうだろうか。本来ならしっかりした経済改革の可能性を議論しても良いのだが、南北が「戦争状態」となった以上、それどころではないということか。

米軍はF-22を米韓合同訓練に投入し、北朝鮮側はこれに強く反発しているようだ。しかし、今の北朝鮮空軍が相手であれば、第五世代のF-22を投入するまでもなく、第四世代のF-15F-16で楽勝の筈なのに。これもプロパガンダによる抑止だろう。

朝鮮半島を巡る動きは全ての関係国で思惑が異なっているが、唯一の共通点は、結果があまりにも明白な戦争など誰も再開する気がないということだ。北朝鮮が暴発でもしない限り、戦争は起こらないだろう。全ては戦術的な動きである。

つまり、北朝鮮側が合理的判断をし続ける限り、つまり戦争の始まりが体制の終わりを意味することを理解し続ける限り、北朝鮮が本気で戦争を仕掛けることはない。誰もがそれを心の中で理解しているが、誰も一抹の不安を捨てきれないのである。

今週筆者にとって最も気になるニュースは米海軍が最新鋭LCSlittoral combat ship沿海域戦闘艦)「フリーダム」をシンガポールに派遣することだ。同艦は40ノット以上の高速航行が可能。掃海・対潜水艦作戦もこなす優れものである。

興味深いのは同艦の対シンガポール派遣期間だ。対外的には10ヶ月とされており、決して常駐ではないという整理だが、専門家は誰もそんな話を信じない。シンガポールへのLCS派遣はローテーション方式と説明されるが、実態は前方展開である。

勿論、主な目的は南シナ海での海洋進出を狙う中国海軍に対する牽制だ。シンガポールは表向き全方位外交で独自性を保っているように見えるが、実態は米海軍を常駐させ、保険を掛けつつある。この二枚舌外交も小国ならでは、である。

そもそもの間違いは1992年にフィリピンがスービック基地から米海軍を追い出し、南シナ海に「力の真空」を作り出したことだ。そのフィリピンが中国海軍にやりたい放題やられている。これを仏教では因果応報という。

いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

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