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2012年12月 3日 (月)

宮家邦彦の外交・安保カレンダー(12月3-9日)

今週は筆者がアラビア研修で貴重な青春期を過ごしたあの「エジプト」がどうしても気になる。

詳しい事実関係を書く余裕はないが、1215日に予定される新憲法草案の国民投票はモルシー大統領にとって大きな賭けとなるだろう。2日に予定されていた憲法裁判所の審理も物理的に妨害され、反対派国民の不満が高まっているからだ。

今カイロでは一体何が起きているのか。筆者はエジプト内政の「4権分立」状態だと考える。4権とは言うまでもなく、「軍権」と立法、行政、司法の「3権」だ。これを理解するには、少なくとも過去60年ほどのアラブ現代史を振り返る必要があるだろう。

近代以降のアラブ非産油諸国の内政を見ていると、いくつか共通点がある。政治権力は、王族にせよ、軍部にせよ、限られた少数グループが掌握する。しかし、資源のない国の最高権力者は日常の行政責任を負いたがらない傾向がある。

経済が悪いからか、市民社会が育っていないからか、原因は不明だが、とにかく経済が良くないからだ。貧困と無学の悪循環のため、ほぼ周期的に経済危機が発生し、運が悪ければ、大規模な社会的混乱や暴動にも発展しかねない。

失脚を恐れる最高権力者はそのような事態につき直接統治責任を負いたくない。だから、軍部であれ、国王であれ、面倒くさいことはテクノクラートの「首相」や「閣僚」に任せる。勿論、経済が悪化した時に、「トカゲの尻尾」として切り捨てるためだ。

ムバラク時代のエジプトは「2権分立」、すなわち「軍権」と「ムバラク独裁」の時代だった。ムバラク退陣後は「ムバラク権」が分解され、一見「民主化」したように見えた。だが、実態は軍部が「軍権」を維持する中、残りの「3権」が争い始めたに過ぎない。

軍は「ババ」を引きたくないので、表面上は静かにしている。だから軍ではなく、今は司法がムスリム同胞団の行政権を牽制する。司法はエジプトのエリートの端くれだが、軍とは立場が異なる。恐らく軍部は当面様子見だろう。

大統領は焦っているのか。「おいおい、モルシー君、あんたもかい?」とでも言いたくなる。ここで大統領が頓挫すればエジプトは再び新たな「堂々巡り」に入る。大統領が勝利し立法権まで掌握すれば、軍部はいずれ究極の決断を求められるだろう。

いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

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