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2011年12月19日 (月)

宮家邦彦の外交・安保カレンダー(12月19-25日)

 今週は何といっても北朝鮮の金正日総書記死去の余波について考えるべきだろう。本日19日昼に発表されたらしいが、朝鮮中央通信によれば、亡くなったのは51時間前の17日朝だという。これを早いと見るか、遅いと見るかで評価は分かれるだろう。
 幸か不幸か、筆者は「朝鮮半島」で飯を喰っている訳ではない。だから、的外れなことを言うかもしれないし、専門家にはない新鮮な視点を提供できるかもしれない。どうせ読み誤るならば、せめて後者の「新鮮な視点」だけでも書けたら良いなと思う。
 以上を前提に、取り敢えず筆者が考えたことを纏めてみたい。

● 金日成死去の政治的意味については、短期的影響と中長期的意義の二つを分けて分析すべきだ。今の北朝鮮には父・子・孫の権力継承と経済の建て直しの二つが喫緊に必要だからである。
● 北朝鮮は、国家でなく、中小同族企業と考えた方が分かり易い。創業者である祖父が作り上げたビジネスモデルは、(冷戦終了後の)子の時代に輝きを失い始め、孫の時代には時代の流れから取り残された遺物になってしまった。
● 孫の代の経営者の使命は、この古めかしいビジネスモデル(主体思想、先軍政治)を手直し(改革開放)し、受け継いだ老舗企業(DPRK)を再活性化させることだ。さもなければ、得意先(中国)や従業員(国民)にすら見捨てられるだろう。
● 問題は先々代、先代とともにビジネスモデルを作ってきた同志(軍人)たちだ。得意先は改革開放を迫る。だが、オーナー一族は孫への権力移譲にばかり固執する。歴史と伝統を誇る老舗は生き延びるか、廃業かの瀬戸際に立っている。
● 先代の死去は既に織り込み済みであり、今回サプライズはない。これから何年か儒教に基づき「喪中」となるこの国で、喪主とその一族に異を唱えることは容易ではない。短期的に見れば、権力の継承は比較的スムースに進むだろう。
● 中長期的な課題は、新しい若い指導者にビジネスモデルの手直しが可能か否かである。軍の既得権にメスを入れる必要があるからだ。中国でその難しい役割を果たしたのは、1976年の毛沢東死去により復活した鄧小平の鶴の一声だった。
● 最大のポイントは北朝鮮に「鄧小平」がいるか否かであろう。これから数年後、喪が明けた時に金正恩は北朝鮮版「改革開放」の決断ができるのか。三代目のボンボンがこの老舗を立て直せるかどうかは、この決断にかかっている。
● 三代目は経営能力を誇示するため軍事的冒険を試みるかもしれない。しかし、所詮これはブラフであり、北朝鮮は日米韓の足下を見ている。中国は朝鮮半島での戦争を認めないだろうし、失うものが多過ぎる日米韓も本気で戦う気などない。
● 6者協議は、中国を孤立させない「現状維持」のためのメカニズムに過ぎず、核兵器問題を解決する枠組みとはなり得ない。北朝鮮の権力継承をめぐる騒動は、6者協議の行方とは別の力学に従い、半ば独立して動いていくだろう。

今回はもうこのくらいにしよう。いつもの通り、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

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