宮家邦彦の外交・安保カレンダー(11月11-17日)
今週筆者が個人的に最も気になるのは7-8日にジュネーブで行われた主要6ヵ国(P5+1)・イラン核協議の行方だ。報道によれば、同協議では結局合意に至らず、20日にジュネーブで協議を再開するらしい。・・・・・
今週筆者が個人的に最も気になるのは7-8日にジュネーブで行われた主要6ヵ国(P5+1)・イラン核協議の行方だ。報道によれば、同協議では結局合意に至らず、20日にジュネーブで協議を再開するらしい。・・・・・
今週も宮家邦彦の外交・安保カレンダーはJapan In-Depthに掲載されます。こちらをご覧ください。
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今週からはご縁があってJapan In-Depth に掲載されることになった。引き続きご愛読願えれば幸いである。従来同様、今週起きることを中心に、世界の外交・安全保障問題の動向を宮家邦彦の独断と偏見と責任で書き殴っていきたい。
今週は米政府閉鎖と債務上限引き上げ問題でワシントンが最終段階を迎える。
このところ、ワシントンから流れてくるニュースは滅入る話ばかりだ。簡単にいえば、ポイントは二つ。妥協することを忘れた米国の政治家たちと、その犠牲になったか、その原因を作ったのかは分からないが、オバマ大統領の黄昏、レームダック化である。
先週は議会共和党と大統領のチキンゲームについて、「双方が合理的な判断をするなら良いが、万一、一方が『相手は譲歩するだろう』と考えた途端、このゲームは破綻する」と書いた。
今週物事が動かなかったら、どうなるのかというと、実は米財務省が恐らく何とかしてしまうのだろう。だが、今は誰もその話はしたくない。そんなことを言っても、問題の解決が遅れるだけだからだ。
これまでの政治的常識ならば17日ともいわれる「デフォルト」の期限前に妥協が成立するはずなのだが。ここに来ても、妥協の可能性があまり見えてこないところが、今のワシントンを象徴しているのだろうか。それにしても大変な時代になったものだ。
大変な時代といえば、米国のEnergy Information Administrationという機関が報告書を出し、2013年9月に中国が世界一の原油輸入国になり、この傾向は2014年も続く("China's steady growth in oil demand has led
it to become the world's largest net oil importer, exceeding the United States
in September 2013," "EIA forecasts this trend to continue through
2014.")と書いている。いずれ起きることだとは思っていたが、この事実の戦略的、地政学的意味はとてつもなく深い。
いうまでもなく、シェール革命とかで、米国の原油輸入依存度はどんどん低下している。そこで中国の輸入依存度が高まれば、中国はどうするだろうか。米国はどう対応するのか。
「中東原油への依存が低下するから、米国は中東から撤退する」なんて馬鹿なことを言わないで、もっと米国の中東政策の本質を考えて欲しい。その上で、これまで静かしていた中国はどう出るだろうか。
高まる輸入依存度を念頭に、中東においてよりproactiveにならないか。それが現在の中東情勢に如何なる影響を及ぼすのか。東アジアからアラビア海までのシーレーン(SLOC:Sea Lines of Communication)に如何なる影響を及ぼすのか。
日本はどう対応すべきなのか。このことを現実に考えるべき日が遂に来たということだろう。今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
今週はバリ島でのAPEC首脳会議とブルネイでの東アジアサミットがある。これにオバマ大統領が二年続けて欠席するという。勿論理由はオバマケアと債務上限をめぐる米議会との「内戦」激化だが、それにしても米国の「アジア回帰」の本気度(?)を示す象徴的な事件ではないか。悪いときには悪いことが重なるものだ。
これでTPPの年内妥結は遠のいたなどという観測もあるが、それはどうかなぁ。そもそも、日本側関係者の中でTPPの年内妥結を予想していた人はいるのだろうか、甚だ疑問である。貿易交渉が予定通り妥結するなんて、これまで聞いたことがない。
筆者の「下衆の勘繰り」に過ぎないが、オバマ大統領「欠席」と聞いて、今頃日本側関係者はホッとしているのではなかろうか。勿論理由は、交渉難航の責任を米国に押し付けることができるからだ。交渉事である以上、誰かがババを引く必要がある。
そもそもTPPが早期妥結することなど信じられない。これだけ大きな交渉だ。「大筋合意」という「最も機微な問題の先送り」合意すら容易ではなかったはずだ。勿論日本からも譲歩が必要だ。オバマがやって来たら、本当に困ったのは日本ではないのか。
それにしても、ワシントンの政治は年々退化しているように見える。どう贔屓目に見ても、共和党のやり方は酷い。1995年ごろのクリントン大統領を批判していた当時の共和党より、今年の共和党の方がはるかにタチが悪い。オバマもちょっと気の毒だ。
このチキンゲーム、双方が合理的な判断をするなら良いが、万一、一方が「相手は譲歩するだろう」と考えた途端、このゲームは破綻する。その悪影響は1995年の比ではないだろう。そろそろ、先送りという内容の解決が図られると良いのだが・・・。
ケニアのショッピングモールでのテロ事件で実行犯の一人がソマリア系とはいえ米国人であったことはショックだ。米国で同種のテロ事件が起きる可能性は確実に高まっているといえる。こうなったら、アルカーイダなどよりもはるかに予測は難しい。
今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
今週は米・イラン関係が注目だ。結論から言えば、米国はこれから数ヶ月間、イランのロウハニ新大統領に翻弄されることだろう。この原稿を書いている最中にも、同大統領がテヘランと米国の都市を結ぶ直行便の再開を検討するよう指示したというニュースが飛び込んできた。流石はロウハニ、思ったとおりの知恵者だ。
オバマ大統領は27日、空港に向かっていたロウハニ大統領に執務室から電話をかけた。ロウハニが帰国した際、空港では保守強硬派の学生ら数百人が投石して抗議した。ネタニヤフ・イスラエル首相はこの新しいイラン大統領を「羊の皮をかぶった狼」と非難した。これら三者三様の状況はイラン核開発問題の複雑さを示している。
このような状況はイスラエルと米国の対イラン強硬派にとって悪夢である。とにかく、今度のイランの相手は「まとも」だからだ。前任者のように、「ホロコーストはなかった」とか、「イスラエルを抹殺する」などとは言わない。こうなると、彼らの強硬路線を正当化することが非常に難しくなる。
以前のようなテヘラン・テルアビブ・ワシントンの三つの強硬派の美しき「共存関係」は崩れていく。ロウハニの穏健な態度を前に強硬姿勢を貫くことは容易ではない。かくして、米イラン関係は久方ぶりに話し合い再開の機運が出始めている。これ自体は大変結構なことだ。
問題は恐らく、こうした動きがイラン核疑惑問題の根本的解決には繋がらない可能性が高いことだろう。ロウハニに核兵器開発技術の取得を断念する権限はない。しかし、オバマ大統領を説得し、米国を納得させる可能性があることは事実であろう。
このようなレベルの高い外交ゲームに今のワシントンは耐えられるだろうか。つい先日ロシアにしてやられたオバマ政権を見ると、非常に疑問である。他方、強硬派同士の共存関係が変化しつつある今、イスラエルや米国の強硬派が主導権を取り戻すことも容易ではないはずだ。
今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
今週はこの原稿をニューヨーク(NY)で書いている。23日から日本の外務大臣が、24日からは総理大臣がそれぞれNY入りする。オバマ大統領がいるらしく、マンハッタンの交通はいつも以上に混雑。空港に行くため15分前に呼んだタクシーがまだ来ない。
先週末はドイツの総選挙がメルケル首相の勝利に終わり、欧州方面は一息ついた。今週の関心はやはり米国政府の閉鎖(shutdown)をめぐる米国大統領と議会の攻防だろう。9月末までに政府と議会が合意しない限り、閉鎖は不可避となる。
米政府の報道官は「9月末までにオバマ大統領が議会指導部と協議する公算が大きいが、政府機関が閉鎖されないよう議会が責任を持って行動する必要がある」と述べたそうだ。そんな呑気なことを言っている場合ではないだろう。
もっとも、政府の「閉鎖」と聞いても米国人はあまり驚かない。1977年から1996年までに大小合わせて17回の「政府閉鎖」が起きており、その「閉鎖期間」は合計で何と109日もあったのだそうだ。
そういえば、90年代前半の筆者のワシントン(DC)在勤中もそんな議論があった。「閉鎖」という割にはあまり大騒ぎにならなかった。しかし、今回は違うらしい。専門家によると、今回は既に予算強制削減措置のあおりで、状況はかなり厳しいのだという。
先ほどNYからDCに移動してこの原稿を書き続けているが、当地の新聞はオバマ大統領と連邦議会の駆け引きをまるでスポーツのように報じている。例のシリアをめぐる大騒ぎとワシントンの海軍施設での発砲事件をめぐる銃規制の議論でオバマ大統領は劣勢なようだ。
今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
今週の目玉は22日に行われるドイツ連邦議会の選挙だろう。もう米国はシリアで何もしない、いや、できない。オバマ大統領が2週間前に「決定」した筈の「対シリア攻撃」だが、そもそもドイツでは誰もシリアに関心がないかのようだ。
15日のバイエルン州での選挙結果はメルケルにとって必ずしも芳しくなかったそうだ。メルケル率いるCSU(キリスト教民主同盟)の姉妹政党CSU(キリスト教社会同盟)は勝ったが、肝心の連立相手FDPが惨敗したからだ。それにしてもややこしい制度である。
ドイツの選挙制度は「小選挙区比例代表併用制」、要するに比例代表制を基本としつつ小選挙区制の要素を加味したものだ。定数は598、半数の299が小選挙区から、残り半数が比例代表により各政党の名簿から選ばれる。
有権者は2票持ち、各選挙区候補者と政党にそれぞれ投票する。各党が獲得する総議席数は政党に対する投票数に比例して決められるが、これとは独立して選挙区では最多得票を獲得した候補が当選する。
従って、場合によっては政党割り当て分を超える議席を得る政党も出るらしい。その際は「超過議席」が生じ、それに見合うよう「調整議席」が他党に追加配分されるので、定数が598を超える可能性もあるのだそうだ。何とややこしい制度だろう。
更に、比例代表で政党が議席を得るには得票の5%以上を獲得するか、または選挙区の当選者が3名以上いる必要があるらしい。この「5%条項」がメルケルの連立相手FDPの前に立ちはだかっているのだそうだ。
かなり勉強したつもりだが、ドイツの選挙制度は分かりにくい。一度多党化が進むと、なかなか安定多数ないし二大政党制に戻りにくいような気がする。メルケルが今回の選挙で勝てるか否かは、欧州政治にかなりインパクトがあるだろう。
ギリシャでは16日から20日まで公務員が性懲りもなく、またストライキを行うそうだ。これで、ドイツ内政が不安定化すれば、欧州でまともな国はなくなるかもしれない。その意味でも、22日の選挙結果は欧州の動向にかなりのインパクトを与えるだろう。
シリア問題の裏で今誰も語りたくないのがヨルダンの行方である。1978年のいわゆる「キャンプデービッド合意」体制はエジプトとヨルダンの対イスラエル平和条約とシリア・イスラエル間の事実上の非戦紳士協定により成り立っていた。
そのヨルダンの国王が15日から18日まで中国を訪問する。中国は中東で着々と力を付けていると思う。今週ワシントンに出張するので、このあたりについても政府や議会関係者に話を聞いてくるつもりだ。今週はこのくらいにしておこう。
いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
2020年東京オリンピック決定は久し振りに嬉しいニュースだ。関係者の方々のご努力に敬意を表したい。直前に原発のニュースが再び世界のメディアで流れ心配したが、今から7年間、日本が何も出来ない訳はない。結果的には順当な勝利なのか。
今週は10日にもオバマ大統領がシリア政府軍による化学兵器使用について米国民向けの演説を行うという。大統領が限定的軍事介入を決断しながら攻撃権限につき米議会に承認を求めることの異常さについては先週書いたので繰り返さない。
時間が経つにつれ、非人道的な化学兵器使用に対する国際社会の一致した懲罰という大義が薄れ、この問題は議会とうまくいっていない大統領の政治的劣勢の挽回と米国大統領のクレディビリティという米国内政問題に矮小化されつつあるようだ。
バシャール(アサド大統領)は死ぬまで化学兵器使用を認めないだろう。元眼科医の彼が本気で使用を命令したとは常識的には考えにくいからだ。他方、シリア軍の一部が勝手に使用した可能性は否定できない。既にシリア軍・アサド政権は壊れているのだろう。
欧州諸国も腰が引け始めた。時間が経てば経つだけ、「大山鳴動」ということか。これが21世紀型米国「内向き」姿勢だとすれば、オバマ政権が続く限り、中東、東アジアなどで米国の足許を見て、その意思をテストする動きが頻発するかもしれない。
目立たないが、11日からベルディムハメドフ・トルクメニスタン大統領が日本を公式実務訪問する。国賓ではないが、天皇陛下との御会見、宮中午餐、安倍総理との会談、夕食会などが予定されている。中央アジアの国々はもっと大切にすべきだ。
今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
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